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●健康管理/肥料について●


 株の良好な成長を維持するため、適切な量とタイミングで栄養分を補給できるように、試行錯誤しながら肥料管理をしています。このページは失敗と反省の記録でもあります。



●失敗例1(写真右): 紅葉後アントシアン色素の抜けが悪く、中〜下位葉は葉が黄化してきました。株が健全なら春先に綺麗に緑色の葉に戻る場合が多いです。写真の個体は液肥による追肥を行うことで健全な新葉が展開してきました。

●失敗例2(写真左):新芽展開中に肥料切れおこし、せっかく展開した新芽が一部小葉化してしまいました。液肥による追肥を行なうことで、その後の新芽は葉が大きく展開してきました。バーク系栽培で液肥で管理している場合、潅水などによって、鉢内の環境が急変しやすい面があると思いますので、ごく薄めた液肥を、株の様子を見ながら、回数多く与える方が良いと思います。




●失敗例3(写真右):葉が全体的にどす黒い印象。微量要素の過剰または欠乏によっても葉が赤紫色になります。マンガンや亜鉛等の重金属による過剰症状によっても、アントシアン色素が滲むようにでてきますが、逆に欠乏症状の時でも、アントシアン色素が発生します。写真の個体の場合は、微量要素の葉面散布で赤紫色は治まりました。ある要素の過剰症状は、同時に他の要素の欠乏症状を現わすこともあります。

●失敗例4(写真左):全体的に葉色が黄化した固体。葉面散布によって葉に緑が戻ってきていますが黄化の進んだ葉は回復しずらいようです。

葉緑素の構成には窒素以外の要素の存在も不可欠で、植物体内に充分な窒素分が存在していても、その他の要素が欠乏していれば、綺麗な緑色の葉にはなりません。また、亜鉛などの過剰によって引き起こされる鉄欠乏でも、新芽や上位葉が黄化します。また、その他の要素の拮抗状態が崩れた時にも全体が黄緑色になることがあります。

肥料のやりすぎ、かまいすぎで新芽の葉色が薄くなる時は、鉢から水がよく流れ出るように潅水して、しばらく液肥などを控えます。

カリウムは鉄分の吸収を助ける働きがあるので根張りの状態が悪かったり、根の色がクリーム色の時、そして新葉や上位葉が鉄欠乏症状を現わしている場合は、微量要素の補給と合わせて、カリウムの補給が有効な場合もあります。




●写真右:アントシアン色素が徐々に抜けて、葉色に緑が戻ってきた状態の個体。

●写真左:いつまでも真っ赤な葉は何らかの要素トラブルを抱えているようです。

特に植え替え後やベアルートで購入した株などの活着前に葉にアントシアンが出る場合が多いと思います。これは根のダメージによって栄養分の吸収が阻害された状態と思われます。
アントシアン色素の発生は、寒さや栄養障害と言った何らかのストレスに対する防御反応でありその葉の生命活動が停止或いは休止した状態ですので、環境を整えてやる必要があります。

また、Restrepia属は開花時期にも植物体内の栄養素の流れに変化が起きる可能性があると思います。例えば、他の属でも開花中は根の生育がとまったりするようにです。

Restrepiaの仲間は生育過程や栄養状態によって葉色が変化しやすいように思います。状態の適切な把握ができれば、便利な生理作用とも言えますが、それだけ繊細な性格の持ち主であるとも言えます。

環境が整っていれば、根の発達に伴い、葉の緑は戻ってきます。発根を促進する意味でもごく薄めた液肥の葉面散布を行う場合もあります。




■肥料成分と欠乏&過剰症状の大まかな判別方法
ミネラル 主な働き 欠乏症状

過剰症状

多量要素

チッ素(N

細胞の分裂、増殖。根・葉・茎の発育と繁茂。
養分の吸収と同化作用。
生育抑制され小葉化し、下葉から黄化・落葉する 新葉の壊死、生長点の発育停止。根ぐされを起こす。Ca欠乏の誘発。
リン酸(P 代謝作用に影響し、植物の生長を早める。
根の発育を促し、発芽力を盛んにする。

生育抑制し、葉が光沢のない濃緑色化。新葉は小葉化する。下葉からアントシアニン色素の発生。着花しなくなる。 Ca、Feと結合し、それらの欠乏症状。他にZn、Mg、Cuの欠乏を誘発する場合がある。葉先に懐死症状。(ソバカス状)
カリ(K 浸透圧調整の作用により根や茎を強くし、耐病性を高める。
開花などを促進する。

葉縁黒枯れ、根の生育が悪くなり根腐れを起こしやすい。葉が外側に巻き生育抑制。

通常過剰症状は出にくいとされるがCa、Mgの吸収が悪くなる。葉縁部の巻き上がり。

多量要素2

マグネシウム(Mg

(苦土)

光合成をする葉緑素の構成成分。 リン酸の吸収と働きを助ける。

葉脈間が黄色化する。やや生育抑制。

B、Mn、Znの欠乏が出やすい。

カルシウム(Ca 糖の移動に関与し、細胞間の結びつきを強くする。 根の正常な発育を促す。 土壌酸度を調整する。 新芽のすっぽ抜け等、軟腐病に類似した症状。根腐れ。生育停止。葉が外側に反り、上位葉が赤みがかる。 Mg、Fe、Zn、Bの欠乏症状を誘発。

硫黄(S

生長の調整などの生理作用に関与。窒素と同じくタンパク質の構成要素。 葉の黄色化。特に古い葉が多く黄色化する。アントシアニンの発生。生育抑制 硫酸根により土壌が酸性化する。根腐れ。
微量要素 鉄(Fe 葉緑素を作る。 新芽から白化。根が黄変。やや生育抑制。他の微量要素過剰やK欠乏による欠乏症状も見られる。 リン酸の吸収を悪くする。根が枯れ、葉が白くなる。茶褐色の斑点、生育抑制。拮抗作用によるK欠乏症状。

マンガン(Mn)

葉緑素やビタミンの合成にかかわる。アルカリ環境下では欠乏症が出やすい。 葉に黄色や茶色の斑点がでる。上位葉が縦縞状に黄緑化 葉縁の黄化、アントシアニン色素が滲むように発現。褐色小斑点。Fe欠乏の誘発。
ホウ素(B) 糖の代謝に関与。新芽や根の生育を促進する。アルカリ土壌で吸収抑制。 新芽や根の生育停止。上位葉の折れ。葉脈がコルク状に裂開。 葉縁や葉脈間が黄色や茶色になる。葉が外側に反り巻いたようになる。
亜鉛(Zn) 新しい葉を作るのに役立つ。アルカリ土壌で吸収抑制。 葉が小さくなったり、奇形化する。他に葉の黄化。一般的に亜鉛の欠乏はアントシアニン色素が発現しやすい 新葉が黄色くなり、茶色の斑点がでる。Fe欠乏の誘発。

モリブデン(Mo)

窒素代謝に関与。ビタミンの合成にかかわる。 葉に黄色の斑点がでてコップ状に変形する。 過剰障害は出にくい。下葉の先端部からの黄化。
銅(Cu)

光合成や呼吸に関与。葉緑素を作る。

根の伸張抑制。下葉の黄化。 根の生育が悪くなる。下葉の黄化。生育遅延。
塩素(Cl) 酸素発生に関与。光合成にかかわる。 葉の先端から白化して枯れる。生育抑制。 根が枯れる。一般的な塩素濃度の水道水での潅水では、過剰障害は出ない。
※上記の一覧表については、参考程度にお考えください。対応の際は慎重な判断のもと自己責任にてお願いいたします。



 ●同時に複数の新芽が展開しているわりと元気なレストレピアの株。写真の展開葉は赤みがかっていますが、いつまでも緑色に変わらない時は、葉緑素の生成が上手く働いていない状態なので、微量要素群の補給で改善することがあります。




●チョコエンシスと、その根の状態。澄んだ白色の根をしています。




●順調に生育中の株とその根の写真。鉢の中はびっしりと根が張っている。





■必須要素の過剰&欠乏の判別と対策について

必須要素の過不足による症状は、類似した症状が多いので、一部のわかりやすい例を除いて外観的な判断が難しく(特にレストレピアの場合、アントシアン色素は様々なケースで発現しやすいように感じます。)、正確な判別にはテスターなどによる植物体内の養分チェックが不可欠だと思います。もしくは土壌pHの判断から鉢内の要素間の拮抗状態を大まかに推測することも可能かと思います。しかし、趣味の栽培下でそこまで実施するのはなかなか現実的ではないかもしれません。

また、過剰、欠乏どちらにしても要素間の複雑な相互性が介在する為、何かしらの対策を施しても、返って事態を悪化させる可能性もあります。

例えば微量要素欠乏の症状がでていたとしても、それが土壌のアルカリ化の影響による不溶化が原因のものであれば、該当する微量要素の葉面散布はあくまで応急処置で、硫安などの土壌を酸性化させる硫酸根肥料の施肥によって、微量要素が不溶化した状態を解消した方が、より良い結果につながるケースもあると思います。

何かの要素欠乏を発見した場合でも、単純に「不足分を足す」という発想だけではなく、その症状について、どのような相互作用が影響しているのかまで、観察して対策した方がより的確にトラブルを解決することができると思いますが、見た目だけでは判断が難しく、試行錯誤しています。




■要素の転流性を参考に、要素過剰/欠乏症状を推察する
 植物に吸収された様々な栄養素などが、その体内の組織間で移動する様を 転流と呼びます。
例えば何かの要素が不足した場合、古い組織から生長点に不足した要素が転流されます。

窒素などは転流しやすい栄養素なので、不足すると下位葉から上位葉へ容易に移動します。その結果、窒素不足の株では、下位葉から黄色化していきます。しかし、全ての要素がそのような転流性を示すわけではありません。中には転流性に乏しく、不足しても欠乏症状が上位葉からあらわれるものもあります。これはその要素が不足しても、それを補うための体内の移動がスムーズに行われない為です。
このように、転流性の特徴も、要素トラブルの状況を適切に判断する材料にしています。


転流しやすい要素群      窒素/リン酸/カリウム/マグネシウム/硫黄/塩素
→これらの欠乏症状は下位葉からあらわれやすい。

あまり転流しにくい要素群   鉄/マンガン/亜鉛/銅/モリブデン
→これらの欠乏症状は、基本的には、上位葉、中位葉にあらわれやすい。

転流しずらい要素群      カルシウム/ホウ素
→これらの欠乏症状は、新芽または上位葉にあらわれやすい。



植物の成長を「最小律」で考える
植物の生長は最も欠乏している要素によって阻害されます。この理論を最小律と呼びます
他の栄養素が豊富であっても、何かひとつの要素が不足していれば、植物の成長は制限を受けることになるので、健全な生育には、すべての栄養素がバランスよく足りていなければなりません。

これを実際の施肥管理に当てはめて考えてみると、総合肥料などを与えているのに、どうも成長が芳しくないような時は、もしかしたらこの「最小律」の原理が働いているのかもしれません。







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◆レストレピア栽培記録・南米高地原産の不思議な蘭の花◆

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