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●病害虫の対策●

レストレピアを栽培している上で、遭遇する確率の高いと思われる病気と害虫をまとめました。

温室内で何らかの症状を確認した際には、緊急性の高いと思われるケースには早期に対応するように心がけていますが、基本的にはあまり神経質にならないようにしています。

病気が出た際は、同時に栽培環境や施肥管理を見直すことで、現時点では、散見される症状が蔓延する事態や、被害株の枯死といったケースまでは発展せずに済んでいます。




1.人的要因によるもの

肥料障害、水分や照度などの環境障害、薬害等です。

まず肥料障害についてはバランスの偏りが過剰又は欠乏障害として、成長点の軟腐様症状や、葉の壊死や黄色化、斑点症状など、一見しただけでは、細菌や糸状菌などの被害による病徴との区別が難しい場合があります。

市販の肥料を規定通り与えていたとしても、環境要因などによって養分吸収にムラが出てきたりすれば、施肥のアンバランスとなってあらわれてくる場合があります。

軽微なものでは、葉色の変化や成長停止など、いまいち株の勢いが優れない程度の症状ですが、重篤な場合は壊死や黄変等の症状まで進行する場合があります。潜在菌類の有無によっては、それがそのまま潜伏病原菌による症状発症の引き金になる場合もあるように感じています。

その他の潅水過多による根腐れや、強光線によっても、葉に病徴に類似した症状を示す場合があります。いずれの場合でも、できるだけ早期に、適切な栽培環境への見直しを図ることで、症状は改善すると思います。



2.細菌性病害群(細菌=バクテリア)

水侵状の斑点が次第に褐変して腐敗する、軟腐様症状が特徴的な症状で、レストレピアで発生した場合、主に新芽や新葉などの成長点付近での被害、成熟した葉の先端から真黒く枯れこんでくるパターンを経験しています。

進行は条件によっては比較的早く、特に新芽の被害では、症状を見落としていると発芽したものが次々と軟腐症状の被害を受けている場合があります。しかし、栽培環境が乾燥気味の場合、葉先の枯れこみや、黒斑症状については、症状の進行は緩慢な傾向があります。

疫病(糸状菌)の症状と、細菌性の病徴は類似性がありますので、農薬散布の判断を誤ると一方の症状を助長することがあり、注意が必要です。※薬剤散布により菌同士の拮抗作用のバランスが崩れます。.

明確な原因の特定には、専門機関への診断が依頼も有効な手段ですが、趣味の栽培ではなかなか敷居の高い方法かと思います。簡易的な診断法として、白い洗面器などに水をはり、腐敗部位を水に浸してみて、切り口からの『菌泥』と呼ばれる濁汁の流出の有無でも、判断の参考になると言われています。しかし『菌泥』の発生が確認できるのは、よほど症状の進行した場合で、初期の段階では目視での判断は難しいかもしれません。

また病徴部位から発せられる腐敗臭の有無によっても、それがバクテリア由来の症状であるのかの、見分けるポイントになるのではないかと思います。ただし、前述の『菌泥』と同様に、よほど症状の進行している場合でないと、判断の難しい場合があります。

予防的対策としては、食害性の害虫によっても媒介されるのでそれらの防除をはじめ、様々な植物に感染するので、雑草などはこまめに駆除します。

通年発生が見られる場合等には、栽培環境の見直しの一環として、温室内や栽培棚などの消毒もあわせて行なう事が望ましいようです。植物体内の病害性バクテリアを退治しきれていない場合、環境や植物自体の活性の低下によって、しつこく病徴があらわれます。

また、被害株については、特に症状が重篤な場合、処分が最終的な判断になるかと思いますが、治療して改善を目指す場合は病害部位の切除と適切な薬剤散布と、新しい鉢を使用して、植え込み材もリセットします。特に細菌類への治療剤の効果は、緩慢な傾向があるので、根気と覚悟が必要です。

薬剤散布を行っても根絶できない場合、耐性菌の出現のリスクがあります。それが他の株に伝染することも考えられるので、治療するなら最後までしっかりと観察することが望ましいと思います。また容易に再入手できるような株であれば、早めに見切りをつけてしまうことも必要です。




3.疫病群(糸状菌=カビ)

腐敗性の病徴が特徴で、糸状菌が原因となって発生する疫病と言われる病害です。

細菌性の病害と症状が大変似ていますが、カビが原因の場合、発生初期での病徴部位では軟腐化が見られない点と、水に浸しても濁汁の発生が認められない点で見分ける際の参考になると言われています。しかし、症状が進行した段階では、水侵症状が観察され、茶色い濁汁も発生し、細菌性の病害との区別が難しくなります。

潅水などによっても伝染するので、鉢が過密に設置してある温室では容易に感染が拡大します。
特にベンチを2段にして使用している場合、上段で疫病の発生が見られた場合、下段の株に感染する可能性が高いと思います。水を介して被害が拡大する特徴があるので、
散水直後に進行が目立つ場合には疫病の可能性が高まります。

予防的対策としては、過密栽培を避け、潅水時の水はねなどに注意が必要だと思います。経験上、症状部位を、ある程度切り落とした上での薬剤散布の方が、予後は良好です。治療剤の散布で効果が高いのですが、耐性が生じやすいので使用方法には注意が必要です。




4.糸状菌性炭そ病群(糸状菌)

レストレピアを栽培している上で、比較的多くみられる病害だと思います。炭そ病の原因菌は、被害株に潜在しながら、植物体が何らかの要因によって活性低下した際に、活動して病徴をあらわします。

予防的対策としては、薬害の少ない殺菌剤を散布します。発生が認められた場合には、被害株だけではなく、温室内の全ての株に殺菌剤の散布を行います。

肥料切れなどによって活性が落ちた際にも、症状が発生する場合が多いです




5.その他斑点性病害群(糸状菌・不完全菌類=カビ)

何らかの病原菌により、葉裏をはじめ、葉先や葉全体に病斑を形成する症状が認められます。

細かな粒状の黒斑点や、それの大きいもの、茶褐色の粉状斑点などで、いずれも植物体の活性が低下した際に発生するように思います。

中には、重篤な壊死化のような進行が見られずに、株自体の生育には影響のなさそうなものもあります。ただし、病徴範囲の拡大により、被害葉の老化が早まり、黄化落葉する場合があります。

健全な株の葉裏にもわずかながら類似の症状が認められる場合があり、潜在菌類による日和見的な症状発生の印象があります。





6.糸状菌性立ち枯れ病群(リゾクトリア菌またはフザリウム菌)

まず根腐れを起こし、地上部は、葉にしわがよったり、葉が反ったりと、極端な脱水症状を起こします。触ると乾燥してぶよぶよとしています。また、同時に葉裏に黒〜黒褐色の斑点を生じる場合があります。被害株でもすぐに枯死せずに、時には数か月以上、生存した後に葉をパラパラと落としていきます。

輸入直後の株の活着不良の状態に類似していますが、栽培株で唐突にそのような症状が見られた場合は、単なる根腐れではなく、立ち枯れ病被害の可能性も考えられるようです。しかし、素人の観察による判断では、区別は難しく思います。

所有株でも、このような症状に陥った株が数株ありましたが、そのまますぐに枯死したものから、新芽の展開により、樹勢を回復させた株もあります。

病害部位や根の周り等に白い菌糸状のものが見られた場合は、判断の参考になるようです。




7.ウィルス性病害群

洋ラン栽培においてウィルスというと、CyMV(シンビジュームモザイクウィルス)とORSV(オドントグロッサムリングスポットウイルス)が有名です。限定的な名称のイメージですが、大変多くの属への感染例が確認されているようです。レストレピアに近縁なマスデバリア属でも、CyMVなどのウィルスについて、その報告があるようですので、その他のクールオーキッドとの同居温室では注意が必要かもしれません。

レストレピアの栽培において、ウィルス性病害らしき株を認識した事はありませんが、葉の黄変病斑やモザイク病の様相に類似する症状は、特に素人目には、その他の要因による病害との区別が難しいと思います。








■写真で見る様々な症状■

【軟腐症状・芽枯症状】


※写真左は茶褐色に変色した新芽。 写真右は健全な新芽。
Ca欠乏や窒素過剰によっても症状が助長されます、硫酸カルシウム水溶液の患部付近への散布で、症状が改善される場合もあります。


病徴:主に新芽に発生します。新芽の展開時に芽が水浸状になり、褐色〜暗褐色に変色して腐敗します。
生態:病原菌は細菌の一種、高温多湿を好み、梅雨時期や冬季の密閉空間で発生しやすいと言われています。経験上、糸状菌の一種による被害と思われる芽枯症状もありました。
類似症状:窒素過多・カルシウム欠乏によっても同様の症状が発生します。植物体内の要素バランスが整っていない場合、蓄積された窒素分の拮抗作用によって、カルシウムの欠乏症状があらわれます。また、カルシウムは植物体内での転流性が悪く、植物の成長に合わせて必要量を継続的に補わないと、欠乏症状を起こしやすい要素でもあります。病害と要素欠乏を分けて考えるのは難しく、要素のアンバランスにより、潜伏菌の日和見的な病徴発生が見受けられるようにも感じます。


【炭そ病・その1】
(ウイルス診断ではCyMV・ORSVは陰性)


※写真左は肥料障害と思われる葉先の焼け症状。 写真左は炭そ病の一種と思われる症状。
病徴:葉に発生します。はじめに葉の先端から、黄褐色の小さな斑点を生じ、次第に拡大して黒褐色の病斑となります。古い病斑は灰色に黒褐色の虎斑状の模様等が認められる場合もあります。また、灰色に枯れた部位には黒く細かい粒状の物質が多数みられる場合があります。

生態:病原菌は糸状菌の一種で、植物体内に潜在し、株の活性が低下した際に発生すると言われています。
類似症状:カリウム欠乏や肥料過剰時の古葉の先端の壊死症状とも類似しますが、虎斑状の模様の有無や健全部位と病斑部位の境の、黒褐色に変色した部分が、見分ける際の参考になります。



【炭そ病・その2】(ウイルス診断ではCyMV・ORSVは陰性)


※写真左は炭そ病と思われる症状。古い病斑上に黒い粒々。右は葉先をカットして殺菌剤を塗布。
病徴:葉先から黄化、壊死して枯れこんでくる炭そ病と思われる症状。『その1』と比較すると、古い病斑上の特徴に違いが見られます。病班にこの黒い粒々が見られた場合は、カビによる被害ですので速やかに切除して処分しています。

生態:病原菌は糸状菌の一種で、植物体内に潜在し、株の活性が低下した際に発生すると言われています。
類似症状:カリウム欠乏や肥料過剰時の古葉の先端の壊死症状とも類似しますが、虎斑状の模様の有無や健全部位と病斑部位の境の、黒褐色に変色した部分、黒い粒々の有無で、見分ける際の参考になります。


【炭そ病・その3】(ウイルス診断ではCyMV・ORSVは陰性)

病徴:葉に発生します。はじめに葉の先端から黄化症状が認められ、徐々に拡大進行して葉枯れとなります。古い病斑は灰色に茶褐色の虎斑状の模様か、黒い小粒がわずかに形成されます。この写真でも枯れて灰褐色になった部分の左下に粒々が見られます。
生態:病原菌は糸状菌の一種で、主に空気感染するとされています。
類似症状:葉先の黄化現象は要素過多、要素欠乏時でも類似の症状が認められます。上位葉での葉縁の黄化症状や壊死は、特にホウ素欠乏/カルシウム欠乏/カリウム欠乏によっても引き起こされる場合があり、そのような場合は欠乏要素の葉面散布で症状は軽減されることもあります。潜伏菌の日和見的な症状の発生である場合は、混用には注意して併せて処置をするとより良いと思います。

【炭そ病・その4】(ウイルス診断ではCyMV・ORSVは陰性)

病徴:葉に発生します。はじめに葉の先端から唐突に黒く枯れこみ、徐々に拡大進行して葉枯れとなります。古い病斑は灰色に茶褐色の虎斑状の模様か、黒い小粒がわずかに形成されます。
生態:病原菌は糸状菌の一種で、主に空気感染するとされています。
類似症状:葉先からの唐突な黒い枯れこみは、カリウム欠乏等の要素のアンバランスによっても引き起こされます。病害は植物の活性が低下した際に起こりやすいので、もし思い当たる要因があれば、併せて改善した方が良いと思います。


【斑点性病害の一種・1】(ウイルス診断ではCyMV・ORSVは陰性)


※写真はそれぞれ異なるレストレピアの葉裏。海外からの輸入株にもともと見られた病班。
病徴:最初に葉裏に、暗褐色の小斑点が多数現れます。病斑部は拡大して隣接するものと融合する場合があります。古葉を中心に症状が表われますが、新葉にもあらわれることがあります。
生態:病原菌は糸状菌の一種とされています。
類似症状:細菌やウィルスによっても同様のえそ班症状が発生する場合もあります。細菌性の場合、黒斑が同心円状に広がる傾向があります。ウイルス性と思われる場合は、葉脈に沿うように壊疽斑が出やすく、被害が拡大した時には壊疽斑同士が連なり、縦条斑へと変化していきます。また目視ではわかりずらいですが、モザイク症状を伴います。


【斑点性病害の一種・2】(ウイルス診断ではCymMV・ORSVは陰性)


※写真は同じ株の葉の裏側と表面の様子。
病徴:比較的古い葉裏の先端や葉縁付近が淡黄色〜淡緑黄色になり、暗褐色の小斑点が多数現れます。症状が悪化すると葉の表面にも症状があらわれます。
生態:病原菌は糸状菌の一種とされています。
類似症状:ウイルス性の壊疽斑でも類似した症状が認められますが、ウイルス性でこのような黒斑が出現した場合、病斑の形状は均一ではなく、陥没してくる傾向があります。


【斑点性病害の一種・3】(ウイルス診断ではCyMV・ORSVは陰性)


※葉裏の病斑の範囲が拡大した葉は、表面にも黄化症状を示しています。
病徴:比較的古い葉裏の先端や葉縁付近が淡黄色〜淡緑黄色になり、暗茶褐色の極小さい斑点が多数現れます。症状が進行すると、あわせて黒褐色の斑点があらわれ、壊死に至る場合があります。軽微なものでは目立った症状の進行はありませんが、葉の老化が早まるように感じます。
生態:病原菌は糸状菌の一種とされています。
類似症状:葉裏にアントシアニン色素の発現した場合には区別が難しい場合があります。細菌性やウイルス性の病徴との区別は比較的容易だと思います。写真の症状はまるで粉をまぶしたように極小斑点が表われていて、典型的な糸状菌被害だと思います。



【細菌性病害の一種】(ウイルス診断ではCyMV・ORSVは陰性)

病徴:最初に葉裏の先端や葉縁付近が淡黄色〜淡緑黄色になり、暗茶褐色の小さい斑点が現れ、葉の先端から黒く壊死症状が現れます。
壊死の進んだ古い組織部分も、黒〜黒褐色のままです。軽微なものでは目立った症状の進行はありませんが、葉の老化が早まるように感じます。
写真の葉は専門機関での検鏡診断の結果、植物体内に細菌が多数認められました。しかし、葉裏全体にみられる粉状の茶色い極小斑点については、糸状菌類による被害ではないかと思われます。
乾燥状態で症状の進行はおさまりますが、植物体内に細菌が侵入している場合は、治療剤による対応が必要になります。
生態:細菌による被害(葉の先端の病徴)です。
類似症状:葉裏にアントシアニン色素の発現した場合にはわかりずらい場合があります。また同様に葉先から枯れこむ被害が多い炭そ病との見分け方ですが、炭素病の古い病徴部位が灰褐色に変色するのに対して、細菌性の被害部分は黒褐色のままである事が多いと思います


【細菌性病害の一種 2】(ウイルス診断ではCyMV・ORSVは陰性)NEW

病徴:細菌性の黒斑症状です。最初小さな壊死斑であった物が、徐々に拡大していきます。高湿度時などに若干進行が早まりますが、基本的に症状の拡大は比較的ゆっくりしています。植物体内に侵入した細菌が、環境の変化や株の活性低下などにともなって症状を現わした場合は現在症状の出ていない部分に関しても菌がまわっている可能性があります。葉についた傷などからの感染であれば殺菌剤の散布にあわせての、早急な病徴部位のカットは若干の効果はあると思います。細菌性病害の場合は治療には根気が必要です。
生態:細菌による被害です。
類似症状:疫病菌による被害との区別が難しい場合がありますが、細菌や糸状菌用の殺菌剤の散布でかえって症状が進行するようなら疫病菌の被害の可能性があります。


【細菌性病害の一種 2】(ウイルス診断ではCyMV・ORSVは陰性)NEW

病徴:こちらも細菌性の黒斑症状です。最初小さな壊死斑であった物が、徐々に拡大していきます。高湿度時などに若干進行が早まりますが、基本的に症状の拡大は比較的ゆっくりしています。植物体内に侵入した細菌が、環境の変化や株の活性低下などにともなって症状を現わした場合は現在症状の出ていない部分に関しても菌がまわっている可能性があります。葉についた傷などからの感染であれば殺菌剤の散布にあわせての、早急な病徴部位のカットは若干の効果はあると思います。細菌性病害の場合は治療には根気が必要だと思います。
生態:細菌による被害(葉の先端の病徴)です。
類似症状:良く似た症状に疫病があります。





「病気と殺菌剤/耐性菌のリスク」

洋ランの栽培において殺菌剤を使用しておられる愛好家の方は多いと思います。農薬に頼らずに、適切な栽培環境と、植物自体の健康を維持することで、ある程度は防除効果は期待できますが、絶対ではありません。健全な栽培環境を維持する為に、殺菌剤の予防散布は一定の効果が期待できます。

しかし同時に、安易に農薬を使用することには慎重になる必要があります。一番気にかけなければならないことは、『耐性菌の出現』です。

殺菌剤には大きく分けて予防効果のあるものと、治療効果のあるものがあり、まず予防剤と言われるものは、一度病気になってしまった植物を治療する力はないですが、汎用的で耐性菌は出現しずらいのが特徴です。

一方治療効果のあるものは特定の病害に対して効果的に作用しますが、耐性菌が出現しやすい特徴があります。これは作物への農薬散布で以前から問題になっていることですが、耐性菌が出現すると、既定の希釈濃度では殺菌効果が無かったり、そもそも全く改善が望めなくなります。

例えば洋ラン愛好家には有名な殺菌剤にも、すでに耐性菌が出現しています。なぜ耐性菌ができるのかについては不明の部分もあるようですが、不適切な使用の仕方も要因の一つであるようです。

ありふれた病害でも一度耐性菌が出現してしまうと、温室内に蔓延して事態の収拾が図れなくなる危険性が出てきます。また、耐性菌の保菌株が譲渡会や売買で流通して思わぬところで被害が拡大してしまう場合もあるかと思います。

予防剤の定期的な散布によっても一定の防除効果は期待できますので、特別思い入れのある株であるとか、買いなおすことができない希少な株でなければ、治療を試みるよりも、栽培環境を見直して株の体調を整えるか、処分してもう一度新たな株を買い求めた方が無難で安全な場合もあります。






「病気と殺菌剤/リサージェンスのリスク」


※写真はカトレア。元々健康的な緑の葉だったが、病斑らしきものを発見して、細菌用の抗生物質剤を散布した結果、半日程で殆どの
葉が真黒く変色した。汚濁汁も滲みだしてきて、一見すると細菌性の病害としか思えないが、誤った薬剤の散布により疫病菌による被害が加速度的に進行した状態。細菌性病害に卓効のある薬剤を混用散布したので、それでかえって症状が進行するというのは考えにくい。その後、写真のカトレアには疫病に適性のある薬剤を散布。症状はぴたりとおさまり再発もしていない。


殺菌剤を使用したら、かえって病気がひどくなったというケースがあります。なぜそのような事になるのか?まず適用のある殺菌剤を使用したのに症状が進行してしまう可能性として、前述の耐性菌の問題があります。

この場合、効き目の弱くなった、あるいは効かなくなった殺菌剤は、その病気の進行を抑える力はありませんが、逆にその病気の進行の勢いを助長するような作用もありません。ですので単に効果が見られないといった程度の症状の進行であれば、殺菌剤の種類をかえてみるのも方法の一つだと思います。

別のパターンとしてリサージェンスの可能性があります。植物の病気の原因には、大きく分けて[細菌][疫病菌][糸状菌]が考えられます。例えば、ある株の体内に、すでにこの3種類の病原菌が潜伏していたとします。

しかし見た目では細菌と糸状菌による病斑しか確認できなかったので、細菌と糸状菌に有効な殺菌剤を散布しました。殺菌剤によって細菌と糸状菌は死滅しましたが、今まで他の病原菌と牽制しあって症状が表にでていなかった[疫病菌]が生き残りました。ここで疫病菌の独壇場になります。

早ければ数時間から半日で株の葉がいっきに真黒く変色していきます。ライバルがいないのですごい勢いで寄生主を蝕んでいきます。これがリサージェンスの一例です。細菌と疫病の被害は似ているので、人によっては細菌用の殺菌剤を使用したのに、返って症状が悪化してしまったと思う人もいるかもしれません。

同じことが害虫への殺虫剤散布でも起こります。また、殺菌剤散布後の株の濡れた状態がかえって病気の進行を助長するという説も同じ理屈で説明できます。

水気や湿度によって症状が進行する病原菌に対しても、有効な殺菌剤=治療剤が使用されていれば、散布後の水濡れや高湿度でも症状が進行することはありません。(病害によっては、乾燥させることで症状の進行が止まりますので、ひとまず進行を防ぐという意味では、水を切り、乾燥させる方法もあります。)


○疫病菌に侵されたカトレアのその後○

リサージェンスにより疫病菌の被害を受けたカトレア・ルデマニアーナです。その後、病気の再発もなく新葉を2枚出して開花しました。細菌性の病気の場合は根治させるのが難しいですが、疫病菌は治療の効果が出やすいので適切な処置を施せばご覧のように株が復活する事もあります。


「害虫編:最初の対策」
洋ランの栽培をしていると様々な害虫による食害などに悩まされますが、クーラー室やワーディアンケースを利用して栽培されているクールオーキッドでは、比較的害虫の被害は少ないように感じます。もし栽培環境が室内やワーディアンケースなどで、比較的密閉性の高い空間である場合は、まず一番の対策は、害虫を持ち込まないことだと思います。私の場合、購入後の鉢は、必ず植え替えをしてから温室に入れるようにしています。植え替えをしているといろいろな虫がいますが、かなりの数の虫がでてきてびっくりすることもあります。また温室の窓開閉時の害虫の侵入を防ぐためにはメッシュの細かい網戸の使用も効果的です。

「ハダニとカイガラムシ」
葉の薄いマスデやドラクラ、レパンテスに発生したハダニは見かけることがありますが、レストレピアで存在を確認したことは現在のところありません。もしも被害が認められた場合には、専用殺虫剤の散布で十分効果があると思います。薬害の心配がある場合は植物由来のものや、薬害の心配の少ない物理作用による殺虫剤も販売もされているので、それらを入手して使用するのも良いかもしれません。

「コバエ類」
温度・湿度の高い環境で発生します。鉢内に湧いた幼虫は新芽や根の先端を食害することがあります。また、置き肥の種類などによっても大量発生することがあります。密閉性の高い空間であれば、ワンプッシュ式の殺虫剤の使用でかなり数を減らせます。鉢内に湧いてしまった幼虫にはデミリン水和剤を使用することもありました。脱皮阻害剤でけっこう効果があります。

「ナメクジ・マイマイ類」

※写真は新芽の展開時にマイマイに食害された痕
注意していたつもりだったのですが、購入株からの持ち込みで被害にあいました。特にマイマイは小さなものが根の付け根にくっついていることがあって、確認不足でした。
新芽や新根の先端を食害されます。ナメクジの食害痕は大きいですが、マイマイのそれは爪楊枝で刺した程度の穴が多いので、どちらか見分ける参考にしています。
市販のナメクジ駆除剤の設置か、顆粒状の駆除剤を株元に直接まきます。メタアルデヒロか、リン酸第二鉄を主成分としたものが選べます。また、高濃度のメタアルデヒロ水溶液を鉢周りに散布すれば、その上を這ったナメクジやマイマイを駆除できます。
最近ナメクジはすっかり見なくなりましたが、マイマイの方は定期的に鉢をチェックして、見つけたものを捕殺しています。
レストレピアの株は、半透明の硬質ポリポットに植え込み、普段はその上に黒色の硬質ポリポットを被せてあります。
このようにすると鉢の中の様子が容易に確認できるのですが、先日根の状態をチェックしていると鉢の中に、根の先端を食害中のマイマイを発見しました。
周辺の根はだいたい先端がかじられてなくなっていました。バーク等で植え込んでいる場合や、ミズゴケでも隙間がある場合は、マイマイは、鉢の中で新根をかじりながら生存しているようです。葉の食害がおさまってきたので安心していたのですが、なかなか全滅させるのは難しいです。
「センチュウ」
温度・湿度の高い環境で発生します。また、油粕などの置き肥や、ナメクジ誘因剤などに大量発生することがあります。鉢内で根の先端を食害します。被害を受けた根は先端が欠けています。土壌環境によって食害が気になるほど発生するので、気になる鉢はリセットして対処しています。
比較検証の為、ミズゴケ&プラ鉢での栽培も行なっていますが、現在のところ未確認です。今後センチュウの発生が見られた場合はお知らせいたします。





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◆レストレピア栽培記録・南米高地原産の不思議な蘭の花◆